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M&A クロージング

クロージングについてです。

クロージングと言うのは、最終契約書に記載されている事項を遂行するフェーズで、具体的には株券の引渡しと売買代金の決済です(もちろん、株券不発行の会社ならば売買代金の決済のみです)。第三者割当増資にならば、株式代金の払込と新株発行です。このクロージング日と最終契約書の締結日とが一致している場合もあれば、一定期間ずれる場合もあります。このずれる場合には買収価格の修正が行われます。一般的な修正方法は、買収価格基準日の純資産額と、クロージング日の純資産額を比較して、その差額を調整すると言うものです。

例えば、評価基準日の純資産が100として、クロージング日の純資産が85とします。この場合は、100-85=15だけ価値の減少が見られます。最終契約書の買収価格は営業権を考慮して150としますと、150-15=135となり、これが修正後の買収価格です。

なぜ、このような調整が必要かといいますと、@期間損益の調整とA巨額配当の防止のためです。

@期間損益の調整とは、クロージング日までは会社は売り手のものですので、それまでの損益も当然に売り手に帰属すると考えられます。そこで、その分を最終価格に調整します。

A巨額配当の防止とは、悪意のある売り手が、最終契約日以降、クロージング日までに配当を行ってしまったにもかかわらず、最終契約書の買収価格で変更できないとなると、売り手にとっては、貴重な経営資源の流出を防ぐ手段がなくなります。そこで、あらかじめ、こうした事項を防ぐために、最終価格の調整を行うこととします。

ちなみに価格の修正については、価値の下落する場合のみ調整する場合(価値が上昇した場合には価格修正を行わない)や価値の修正の金額に一定の基準を設けて、一定額以上の場合にのみ修正を行うとする場合もあります。これらはなるべく、価格修正という煩雑な手続きを回避しようとするものです。

また、クロージング日の純資産を確定するためにクロージング監査を行いますが、通常は、これは売り手の財務デューデリジェンスを行った監査法人や会計士が行います。すべてのBS項目の調査はお金も時間もかかるので、重要な項目のみに限定して調査する場合もあります。

こうして、クロージングが実施されたら、後は株主名簿を書き換えたり、株主総会で役員を変更したり、代表取締役を変更したり、登記を行ったりする必要があります。これまでが、買収作業に一つの区切りです。売り手はこれでバイバイすることもありますし、時には会長などとして、しばらく中に残る場合もあります。もちろん、買い手にとってはこれからが本番となります。

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 M&Aは東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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