中小企業 経営者の組織再編、事業承継、ハッピーリタイアを後押しするM&Aのお手伝い

M&A急増の制度的要因

 M&Aは2000年以降、急速に増加しています。1999年には1169件だったものが、2000年に一気に1635件まで増加し、さらに2004年に2211件、2005年に2725件と大幅に増加しています。これが、トレンドです。2007年はまだ、途中ですが、現在までの実績をみると前年度と同様の水準となると思われます。

 このようにM&Aが増加した背景としてはまず、制度的要因があります。ひとつは持株会社の解禁、株式移転・株式交換制度の創設という法制度の変更です。
 1997年に独占禁止法改正によって、純粋持株会社が解禁となりました。純粋持株会社とは、事業を行わず、グループ会社の株式のみを保有する会社です。企業グループの頭として戦略を決定し、実行し、傘下にある子会社等を監督します。具体的には「みずほフィナンシャルグループ」「JFEホールディングス」「阪急阪神ホールディングス」等です。多数の関連事業と関連会社を有する公開会社にとっては大きく、このような純粋持株会社のニーズは、大きく実際に多くの純粋持株会社ができました。この純粋持株会社を作るためには、旧株主の株式を新会社へ移転する必要がありますが、これを低コストで可能にしたのが株式移転制度です。これにより100%親子関係のある親会社が新たに作成され、旧株主はその親会社の株主となります。こうした制度改革はM&Aを増加させた要因の一つです。
 また、株式交換制度は2つの会社を資金的負担を最小にして、親子会社関係を作ることができます。子会社の旧株主には、親会社の株式が交付されます。従いまして、買収に多額のお金が必要ではありません。これもM&Aを増加させた制度的要因の一つです。
 更に、簡易的な組織再編が認められたり、組織再編に関する税法の取扱いが明確になったことや会計基準が整備されたことも大きな理由の一つです。

 また、会社法が施行されて、更に組織再編が容易になりました。ひとつは対価の柔軟化です。従来は、吸収合併や株式交換の際には、株式を交付しておりましたが、株式ではなく現金等の財産を交付することもできるようになりました。また、三角合併もみとめられるようになりました(子会社が他の会社を吸収合併する場合に、親会社の株式を対価として交付する合併)。更に、簡易組織再編や略式組織再編などの制度もでき、より簡便に組織再編ができるようになりました。

 会社法における制度改正はこれでしばらくはないでしょう。今後、制度的な改正が行われるとすると、会計だと思われます。現在、認められている持分プーリング法は国際的には認められていません。日本の基準は、現在国際的な基準に合わせる方向で進んでいますので、組織再編にかかわる会計基準は定められたばかりですが、近い将来、この持分プーリング法に関する部分は変更されると思います。

 いずれにしましても、企業が考えるM&Aをより容易に行えるようになってきています。国としても外国企業に負けない競争力の構築を制度的に支援したいということだと思います。こうした制度的な改正を受けて、日本のM&Aは2000年以降増加したと言えると思います。

 

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 M&Aは東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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