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M&A デューデリジェンスB

買い手としては財務デューデリジェンス(以下、DD)で発見された事項を買収価格に反映させていく必要があります。もちろん、これは売り手との交渉になります。

まずは、正常収益力分析に基づく価格調整です。これは、DD前の基本合意した買収価格の前提とされた利益が、正常収益力と異なる場合に、その正常収益力に基づいて買収価格を算定しなおすと言うものです。
買収価格の算定がマーケットアプローチの類似公開会社方式に基づく場合で、倍率としてPER(Price Earnig Rasio、1株あたりの株価/1株あたりの当期純利益)やEBITDA(減価償却費及び支払利息控除前税引前利益)を採用している場合には、正常収益力を用いて買収価格を算定する必要があります。
また、買収価格の算定がインカムアプローチの収益還元法やDCF法に基づく場合にも、過去の異常な項目等を排除した正常収益力を用いて将来利益や将来FCFを算出し、買収価格を算定する必要があります。

次に、実態純資産分析に基づく価格調整です。これは、DD前の基本合意した買収価格がコストアプローチの純資産法に基づく場合には、時価純資産を算出して、これを買収価格とします。
具体的には、DD前の簿価純資産が5,000百万円、貸倒懸念債権が100百万円、不良在庫が150百万円、土地の含み損が270百万円、投資有価証券の含み損150百万円、退職給付引当金の不足額が230百万円とすると、100+150+270+150+230=900百万円、税効果は900×40%=360百万円となり、修正後純資産は4,460百万円となります。
また、貸倒懸念債権や不良在庫は将来のキャッシュフローに影響を及ぼすので、DCF法による価格算定にも影響を及ぼすことになります。

DDによる発見事項は、上記のような買収価格そのものに影響を与える事項ばかりではなく、偶発債務の問題や重要な人材の流出懸念等、直接的には買収価格に繁栄させにくいものもあります。そのような場合は、売り手からの表明や保証、損害賠償規定を最終契約書に盛り込む交渉を行う必要があります。そうは言っても、なかなか反映させにくい事項もでてきてしまうのも事実です。そのような場合であっても、買い手は根気よく売り手と交渉し、徹底的にリスクを洗い出してください。と申しますのも、そもそもM&Aは非常にリスクが高く、金額も多額となる投資で、この投資は失敗の確率の方が成功の確率よりもずっと高いのです。そして、失敗の原因の大きなものは、買収価格が高すぎることとリスクの洗い出しが不十分なことです。ディールの成立まではあと少しです。ここで油断したり、あきらめることなく、根気よく頑張ってください。

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 M&Aは東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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