中小企業 経営者の組織再編、事業承継、ハッピーリタイアを後押しするM&Aのお手伝い

売り手の情報開示及びその準備

売り手の情報開示についてです。

通常は売り手のノンネームシートを見て、買い手は手を挙げるわけですが、この情報だけでは、相手がどのような技術力、製品、人材、設備、借入金などを持っているかさっぱり分からず、買収後に自社との具体的な戦略を描くことが出来ないので、価格をつけることが出来ません。そこで、より詳細な情報の開示を求めます。この前提として、よく秘密保持契約を結びます。

この求められる情報は買い手によっても違いますが、一般的なものを挙げてみます。

 基本情報として
@会社パンフレット
A商業登記簿謄本
B株主名簿
C商品・製品の内容(カタログ)
D会社組織図(関係会社,事業部門,支店等)
E会計監査人報告書(あれば)
F顧問税理士・会計士・弁護士
G中長期戦略
H過年度の予測と実績の乖離の状況

 財務数値として
@採用している会計方針
A過去3〜5年分の財務数値(決算書,税務申告書)
B過去3〜5年分の各勘定明細
C棚卸資産の時価情報(陳腐化)
D回収不能債権の内容
E土地、有価証券等の時価情報
F借入金の状況(借入先,返済スケジュール,利率等)
G引当金の状況(賞与、退職給付、役員退職)
H担保状況
I保証債務・被保証債務
J偶発債務情報

 組織情報として
@組織図
A役員の経歴
B従業員名簿
C就業規則・給与規程・退職金規程
D労働組合

 営業情報として
@市場状況、シェア情報
A過去3〜5年分の主要顧客別売上明細
B過去3〜5年分の商品別売上明細
C価格戦略
D競合会社
E広告活動

 設備状況として
@生産能力
A稼働状況
B有形固定資産明細
C設備投資計画
Dリースの内容

かなりのボリュームです。他にも買い手によっては様々な情報を要求されることとなります。

また、通常はM&Aは一般の従業員には気づかれないように行う必要がありますので、時間がかけられません。ですから、短い時間で買い手の要求に応えるのは大変です。ま、どうせ必要とされるのですから、あらかじめこれらの情報は売り手としては集めておくことが必要になります。M&Aの際に何が求められるのか、この場合何が問題となり、次にどういう情報が必要なのか、といったことは外部の専門家に相談した方が宜しいかと思います。と、申しますのもこうした情報がなかなか出てこないと交渉は長期化しますし、企業価値も毀損する場合があります。

買い手も時間がないものですから、つい高圧的な態度になってしまうことがあります。売り手はそれが大変なストレスとなり、中にはで会社に来なくなってしまう担当者もいます。感情的な対立はディールの失敗にもつながりかねないので、いくら忙しくても精神的な余裕をお互いにもてるような、配慮が双方に必要だと思います。特に仲介会社が入る場合は、情報の必要性について、相互に上手に説明し、売り手に気持ちよく情報がでるような体勢と、買い手もある程度の余裕をもてる体勢をとれるようにアドバイスする必要があります。

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 M&Aは東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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