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M&A デューデリジェンスA

財務デューデリジェンス(以下DD)の前回からの続きです。

財務DDで検出されるリスクの代表的なものをいくつか挙げていきたいと思います。
まず、対象会社の正常な収益力を測るために、実際のPLから特別な項目、正常とは思われない項目を見つけていきます。
例えば、@グループ会社間取引の価格修正です。グループ会社間では通常とは異なる、有利な価格での取引が行われている場合があります。これを通常の第三者価格に修正します。
A取引条件の修正です。他社との取引条件が大幅に変更され、変更前と変更後では連続した正常な収益力とはみなされない場合があります。この場合は、変更前を変更後の条件に修正して正常な収益力を算出します。
B顧客の喪失です。過去に大口の得意先がなくなってしまった場合に、当該得意先が当初から無かったとして正常な収益力を算出します。
C天災や異常季節変動等の一時的な損益の影響の排除です。天災などで売上げが激減したり、在庫が異常に滞留したりする場合もありますが、正常の収益力を測る上では排除します。
Dリストラの影響の修正です。リストラをしますと退職金などが増加し、正常な収益力がわかりません。そこで、リストラ前の収益力をリストラがあったとした場合の収益力に変更します。
E会計処理の修正です。非公開会社では会計処理の誤りがよくあります。そこで、その誤りや粉飾を修正して、正常収益力を算定します。

次にBSです。実態BSを作成します。基本的には帳簿価額と時価との乖離を調査し、すべて時価で評価していきます。
まず、@営業債権の評価です。滞留売掛金の回収可能性を検討して、評価減を検討します。
A棚卸資産の評価です。これも棚卸資産が実際に売れるのか、売れるとしたらいくらかなのか、評価減をする必要は無いのかを検討します。
B固定資産の評価です。土地や建物ですね。これがいくらで売れるのか。不動産鑑定士の評価が最も望ましいのですが、時間・お金などがない場合、重要性が低い場合は、路線価や固定資産税評価額で評価します。
C投資有価証券や敷金等の評価です。有価証券はその時価を調査し、敷金等はその回収可能性、回収可能金額を調査します。
D引当金です。賞与引当金、役員退職慰労引当金、退職給付引当金は合理的な金額で計上されているかを調査します。非公開会社ではこの引当金が十分積まれていないことがよくあります。
E繰延資産の回収可能性です。正常収益力分析から計上できる金額を調査します。

そのほかにもキャッシュフロー分析を行います。月次や年次のキャッシュフローの推移を把握し、傾向を分析します。それとともに、借入金の月次分析や運転資本の月次分析などを行い、傾向を捉えます。

また、これらの調査を通じて、様々な問題(与信管理制度の活動状況、固定資産の整備状況、廃棄物処理等の環境問題、リース資産の状況、実地棚卸と継続記録の差異状況、借入金の特殊な返済条件等、特定の取引先・仕入先の割合が著しい、従業員の年齢構成、1人あたりの人件費、組合と会社の関係、債務保証の有無、デリバティブ取引の有無、訴訟の有無、内部統制の整備状況)について、リスク情報を注視して収集します。

分析することは山ほどありますので、すべてを行おうとすると時間がかかります。そこで、あらかじめ、DDで重点的に調査する箇所をあらかじめ依頼者と会計士とで打ち合わせをしておくことが重要です。

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月岡公認会計士事務所

税務 会計 M&Aは東京 千代田区 月岡公認会計士事務所

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